What we thinkかものはしの思い
©Kohei Ikoma
こどもの貧困や虐待
「なんとかしたい」を
大きな力に変えていく
こどもへの暴力や、こどもの貧困。現状を変えられず、孤独の中にいる親たち。私たちは、事件がニュースになるたび、どうにかしたいと強く思う。
けれど、どうアクションしていいかわからない。
一方では、虐待などの社会問題に立ち向かっているけれど、リソースも足りず、社会からの心ない批判を浴びて、疲弊している現場の方々もいます。まだまだ、今は、思いが「点」として存在していて、問題解決や癒しのための「大きな力」になりえていないのかもしれません。
人にいちばん近いところで、自分たち自身のこととして、ちょっとずつ力を出し合い、寄り添い、希望をつなぐ。それは、政治や、企業の経済活動だけではカバーできない、「市民一人ひとり」から生まれる、大いなる力です。
この、一人ひとりの思いを束ねて生まれた大きな力を、必要とする場所へと届けつづけることで、社会は必ず変わります。こどもも、大人も、生まれながらに持つ「尊厳」を大切にし、大切にされている社会をかなえられるはずです。
そのために、かものはしプロジェクトのこれからがあります。一緒に、大きな力になってください。
Missionミッション
だれもが、尊厳を大切にし
大切にされている世界を育む
かものはしプロジェクトは2002年に「こどもが売られない世界をつくる」を掲げて活動をスタートして以来、20年以上にわたり、社会課題に取り組んできました。そのなかで身にしみて感じたのは「独立して解決できる社会課題はない」ということです。こどもの人身売買も虐待も貧困も、それらを取り巻くさまざまな社会の状況と結びついていて、シンプルな解決方法はありません。虐待をとってみても、たんに虐待する人を捕まえればいいという話ではありません。大切にされないこどもの隣りには、他者を大切にすることが難しい親(大人たち)がいる。そうさせてしまう社会の仕組みがある。それらすべてに目を向けなければ、うわべだけの、もしくは一時的な解決にしかなりません。
取り組むべき本質は「尊厳」
こどもの虐待や貧困をはじめとした、理不尽な社会課題の背後にある本質は何か。カンボジアやインドで人身売買に向き合ってきた経験、被害者や最貧困層の女性たちに、生きるためのライフスキルやリーダーシップを身につけてもらうプログラムを行ってきたこと、それらの現場経験から政府や社会に提言をしてきたこと、さらには、活動をする中で、仲間同士の葛藤や、自分たち自身への疑いや無力感を体験したことも踏まえて、「尊厳」という言葉に行き着きました。だれもが生まれながらにして持っている、人としての「尊厳」を、だれもが、お互いに大切にしあえる社会をつくる。こどもでも、大人でも、どんな属性であろうと、どんな環境で生まれようと、この世界に生まれてきた限り、「その人が、人として大切にされる社会と心」を皆でつくりあげたいと強く思っています。
プロセスをつなぎ、育て、
エコシステムをつくる
日本や世界の各地には、虐待にせよ、貧困にせよ、課題解決のために働き、ノウハウを積み重ねてこられた組織や団体があり、個人がいます。ただ、そこに力が行き渡っていなかったり、連携が取れていなかったり、さらには、立場の異なる組織や個人がぶつかり合う結果となり、問題解決への力が削がれていたりする現実があります。そんな中でこそ、私たちかものはしプロジェクトが、困難な現実の中で積み重ねた経験やノウハウが一助になると信じています。違いや対立を乗り越え、力をつなぎ、育て、包括的な課題解決のための(つまり、皆が尊厳を大切にしあう社会へと向かう)「エコシステム」を育むことが、私たちのやるべきことだと考えています。
尊厳を大切にしあう、
強くやさしい社会を
私たちの目の前には、虐待や貧困といった課題がいまだにあります。そんな状況だからこそ、皆が自分のことを好きと思えて、他者にやさしくある社会を次世代につなぎたい。そのために力や知恵を皆で出し合いながら進めていきたい。そして、だれもが相手を思い、尊厳を大切にするやさしい社会をかなえていくために、まず自分自身を大切にすることも忘れずにいたいと思います。その先にある最終的なゴールは、だれもが、お互いの尊厳を大切にしあうことで、「不条理の連鎖を癒し、皆がともに生きるエコシステムの共創」です。すべての人が自分自身のことを大切にし自分の人生を歩むことができる、他者とぶつかったときにそれぞれの違いを受容することを通じてお互いを大切にできる、そんなことが自然とできるような、強くやさしい社会を目指して。
かものはしプロジェクト一同
Policyセーフガーディング・ポリシー
関わる人たちの安全と権利を守る
セーフガーディング・ポリシー
かものはしプロジェクトでは、私たちの理念である「だれもが、尊厳を大切にし、大切にされている世界を育む」ことを組織内や事業活動の中で体現していくために、私たちの事業に関わる全ての人たちにとって、心と体の安全と権利が守られる環境づくりを目的として、セーフガーディング・ポリシーを定めています。このポリシーを起点に、「尊厳が守られる環境ってどんなものだろう」「こんな時にはどう対応したら、関わる人の安全と権利が守られるんだろう」といった対話が生まれ、セーフガーディングについての意識が高まっていくことを目指しています。
セーフガーディング・ポリシー全文を見る
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