【イベントレポート】立ち上げから1年、妊産婦の居場所「ふたやすみ」の現場から〜全国活動報告ツアー第5弾@横浜
date2025.3.13
writer鳥居 真樹
いつも、かものはしプロジェクトの応援をいただき誠にありがとうございます。
ソーシャルコミュニケーション事業部の鳥居です。
「全国のサポーター会員の皆さまとリアルでお会いし、社会にアクションしていくエネルギーをお互いにもらえるような機会を作りたい!」そんな思いから、全国活動報告ツアーは2023年からスタートしました。(東京、名古屋、大阪、福岡でこれまで開催)今回は、2月16日に開催した「全国活動報告ツアー@横浜」の様子をお伝えします。
contents
テーマは 日本・妊産婦支援事業「ふたやすみ」
今回は居場所「ふたやすみ」の取り組みを中心にお伝えしました。ふたやすみは2024年2月千葉県松戸市で、この地域で長く活動するNPO法人さんまとの共同運営でスタートしました。これまで多くの方々とのご縁をいただきながら、困りごとを抱えている妊産婦さんに宿泊・居場所・訪問・相談のサポートなどの活動を続けています。
「ふたやすみ」の活動報告は、活動ブログからもお読みいただけます。
立ち上げから1年、妊産婦の居場所「ふたやすみ」の現場から
当日は 妊産婦支援事業の草薙と NPOさんま代表理事の石川が登壇しました。
草薙からは、立ち上げから1年が経った「ふたやすみ」の活動報告をさせていただきました。現在の取り組みの概要をはじめ、現在抱いている葛藤や課題もお伝えしました。

草薙「立ち上げから数ヶ月経ったころ、当初に掲げていた目的に違和感を感じ、ふたやすみで関わる妊産婦さんについて改めてチームで話す機会がありました。
例えば、私たちは利用者さんを「困難を抱えた妊産婦」だと考えて接していましたが、実際に利用者さんと過ごす中で、「目の前にいる彼女たちは困難を抱えた”弱い人”なのか?」と自問するようになりました。ふたやすみで出会う方々は、経済的な困窮や家庭内の不和、頼れる親戚がいないなどの「困難さ」を複合的に抱えていることも少なくありません。それでも、そんな難しい状況でさえも笑い飛ばし、さまざまな選択をして生き抜いている“逞しい人たち”だと感じるエピソードがチームメンバーからも多くあげられました。現在は「困難を抱えている」のではなく 「困難な環境下で奮闘している妊産婦」と認識をし直したうえで相手がどうしたいかを大切にしながら関わることを意識するようになりました。
これからも日々、私たち自身も変わっていきながら向き合っていきたいです。」
石川からは、自身が松戸市民として暮らし、地域で活動をしてきた「NPO法人さんま」を運営する中で、かものはしと出会い、今回「ふたやすみ」を共に運営することとなった経緯や、実際に支援リーダーとして活動する中での葛藤や喜びをお伝えしました。

(支援のゴールはどのように決めるのですか?という質問に対して)
石川「利用者さんと関わる際には、まず「支援計画」を作成し、その中で「こうしていきたいね、ここを目指したいね」という目標を一緒に話しながら決めていきます。それは、人によって、数ヶ月だったり、数年だったりと期間も様々で、さらに関わる中で変わっていくものでもあるので、正直、明確に決められないことも多いです。また、ゴールを決めていいものかも悩みます。
ただ、当初描いていたものとは違っていても、その人らしい選択を、利用者さん自身が決めることができたら、それが一番良い形なんだと思います。」
「なんとかしたい」思いが重なり合うグループトーク
後半は、参加者全員でグループトークの時間。話を聞いての感想や、テーマに沿っての対話を重ねました。時間があっという間にすぎてしまい、休憩の時間となっても、ほとんどの方が立ち上がらず話し続けているほどの熱気に包まれていました。

イベント後には、任意参加の交流タイムを開き、自然とスピーカーの草薙石川をそれぞれ囲む大きな輪ができました。お互いが地域や学校、会社などで感じているモヤモヤを言葉にしたり、すでにアクションしている方が、これから活動を始めてみたい方へエールを送るなど、お互いをエンパワーしあう場となりました。

◾️参加者からの感想
「『まずはわたしがふたやすみ』という言葉が印象に残りました。私も将来福祉の現場に関わっていきたいと考えているため、この言葉を忘れないようにしたいと思いました。グループトークの時にスタッフの方が言っていたふたやすみの活動の「曖昧さに力がある」という言葉も心に残りました。」(20代女性)
「どのプログラムも胸がいっぱいになる内容でした。草薙さんと石川さんの想いがダイレクトに伝わってきました。1日中聞いていたいお話でした。」(50代女性)
「何度も具体的に積極的に行動(トライ)しているのですが、なかなか理想とする活動に結びつかず困っていましたが、めげずに更に行動しようと思えました。」(60代女性)

現場の「生の声」をもっと伝えていきたい
ふたやすみの取り組みを、これまでオンラインイベントや総会ではお伝えしていましたが、対面の場でじっくりお伝えするということが、実は、今回が初めてでした。
立ち上げから1年のタイミングで、皆さまに直接お伝えできたことを本当に嬉しく思います。
この1年、ふたやすみで出会った方々の顔を思い浮かべながら、ゆっくり噛み締めるように一言ひとことを伝えていた草薙と石川。そして、その思いを受け止めるように、深くうなづきながら聞いてくださる皆さんの表情に、私自身、司会という立場ではありつつもグッときてしまう瞬間もありました。
これからも、迷い、葛藤しながらも、日々、利用者さんとまっすぐ向き合っている「ふたやすみ」チームの歩みや、現場の「生の声」をもっと伝えていきたいと強く感じました。
来年度も引き続き「全国活動報告ツアー」で開催していきます。お会いできたときには、みなさまの「なんとかしたい」思いも、ぜひ聞かせてください。
writer

鳥居 真樹ソーシャルコミュニケーション事業部
学生時代、かものはしの姉妹団体「ゆるかも」とインターンとして活動していました。東日本大震災を機に、まずは自身の暮らしそのものを見つめ直そうと、農村の地域おこしや、オーガニックカフェ、古民家で電気水道ガスのない暮らしを経験。「どこでどんな暮らしをしていても、ひとが自分の可能性を諦めない仕事をしたい」と、2021年に入職しました。おいしいものを囲んでおしゃべりする時間が大好きです。