第一弾:ファクトリーの一日を見てみよう!
date2014.11.18
無意識に自分とカンボジアの女性たちに距離を感じていた。
その壁を取り除いた先に見えてきたものとはー。
みなさん、初めまして。
10月よりカンボジアで駐在インターンをしている林咲希です。
私がカンボジアに来てから、もう2カ月が過ぎようとしています。
しかし、仕事はシェムリアップ市内のオフィスが中心で、
ファクトリーでの実際の時間の流れ方はよくわからないまま...
そこで今回は、ファクトリーの1日に密着取材をしてみました!
5:40-7:45 出勤
カンボジア人の朝は、日の出と共に始まります。
女性たちの通勤手段は、ファクトリーが用意している大きなトゥクトゥク。
「おはよう」
「朝ごはん、何食べた?」
荷台に揺られながら、挨拶を交わす女性たちを乗せたトゥクトゥクは、
1時間以上かけていくつかの農村をまわり、ファクトリーに向かいます。
到着するとすぐに、材料と道具を用意して仕事の準備です。
ファクトリーの横にあるショップも、さっと埃を払って開店準備。
7:45-11:00 午前の仕事
はじめは私の目を気にしていたようですが、
しばらくすると、いつものようにお喋りしながら作業を始めてくれました。
話題はもっぱらテレビや家族や食べ物について。
100人ほどの女性が集って思い思いの世間話に花を咲かせていると、
まるで女子校のような雰囲気で、自分の中高校生時代を思い出しました。
口は動かしていても、作業の手は止まりません。
彼女たちには、役職や担当製品によって1日で作る個数の目標が決まっています。
例えばこの四角いコースターを担当している彼女は、
1日に65個を作ることが目標です。
役職のあるシニアワーカーであれば、98個が目標となります。
途中、15分間の休み時間があります。
女性たちの半数ぐらいは食堂に集まって持参したおやつをつまんでいました。
家から作ってきたらしいエンドウ豆の酢漬けのようなものを
「食べてみて」とひとつくれたのですが、
間違えて、捨てるはずの種を食べてしまって笑われました。
11:00-11:45 識字教室
午前の仕事はこれでおしまい。
午前中に出たごみはまとめて全員で掃き掃除をします。
掃除が終わると識字教室で、
この日は作業場と食堂の2カ所で行われていました。
さらさらとノートに書き綴られているクメール語を、
私も真似してみましたが、どうにもお手上げでした。
11:45-13:00 お昼休み
朝から炊事さんが準備してくれていたおかげで、
きっちりと時間通りに給食が出来上がり、ぞろぞろと食堂に集まってくる女性たち。
それにしても、カンボジア人の白米の消費量には驚きます。
確かに安価でエネルギーに変換しやすく効率的だと言えなくもないですが、
栄養のバランス感覚を身につけることも課題のひとつです。
13:00-17:00 午後の仕事
ファクトリーで働く様子を見ていると、
天真爛漫な彼女たちから貧困や人身売買を連想することは難しい。
しかし実際には、ファクトリーの雇用対象は最貧困層の家庭の女性たちに限られています。
ファクトリーで仕事と現金収入を得ることだけでなく、
貯金制度・識字教室・託児所・栄養管理のサポートといった、
ファクトリーで働くことのメリットに女性たちが気がついてくれて、
ここで働き続けてくれることが私たちの願いです。
午後の休み時間には、
揚げものやヌードル、シェイクなどを売りにローカル屋台がやってきます。
休み時間の過ごし方を見ていると、
無意識のうちに私は彼女たちを特別扱いしていたのだと気付かされます。
生まれた国と環境が違っても、みな同じ人間なのだ
という当たり前のことを忘れていたのかもしれません。
そんなわけで、実は今回の取材で一番面白かったのは、
彼女たちの休み時間の過ごし方だったのでした。
さて、本日の仕事もラストスパート!
ファクトリーでは、
自分が手を加えた製品のタグに自分の名前を書いていく決まりになっています。
誰がどの製品のどの工程を担当したかが一目でわかるので、
何か問題があったときに原因をすぐに発見することができるのです。
そんな工夫のおかげか否か、
真面目な彼女たちの仕事の能率や態度は、午前も午後も変わりません。
最後にまた全員でごみを掃除して、
帰りのミーティングと戸締まりをします。
朝と同じトゥクトゥクに乗って、家路につく彼女たち。
今日も1日お疲れさまでした。
--------------------------------------------------------------------
ファクトリーを取材している間、
私は「自分がここで働いていたら」ということを想像していました。
仲の良い友達ができたらすごく楽しい職場だろうなあ。
やるならミシンの工程が良いけど、不器用だから怒られるかも。
託児所があるから、子どもがいても安心して働ける。
皆さんも、女性たちひとりひとりの生活や暮らしに思いを馳せてみてください。
2014年9月に大学を卒業し、10月より現地駐在インターンとしてカンボジア事業部の広報・マーケティングと輸出業務を担当している。2015年4月からマスコミに就職予定。