16年の感謝を込めて。カンボジア事業自立のご報告
Report of Cambodia
青木 健太Kenta Aoki
共同創業者・理事長
2002年、村田、本木ととも団体を創業しました。当初IT事業を担当し、大学も中退してしまいました。2009年からカンボジアに渡り、貧困家庭出身の女性たちを雇用するコミュニティファクトリーを運営しています。2018年からはNPO法人SALASUSUとして独立し、現在は教師教育を通じた公教育改革にカンボジアで取り組んでいます。2022年からかものはしプロジェクト理事長も兼務。仕事柄教育の論文を読んだり書いたりすることがあるので、あのとき大学をちゃんと卒業してれば良かったと思いつつ、日々頑張って学んでいます。最近娘と遊びに行くのが楽しみです。
いつも応援してくださっているみなさまへ
こんにちは。共同代表の青木です。
いつもあたたかく私たちの活動を応援いただき、本当にありがとうございます。
みなさまより数え切れないほどのサポートをいただき、
3月31日をもって、かものはしとして「子どもが売られる問題をなくす」ための
カンボジア支援を終了することができました。
そして、カンボジア事業部は4月1日より、
NPO法人SUSUとしてのスタートを切ることができました。
独立に関しての詳しいご報告は、6〜7月に発行する予定の
年次報告書にてお伝えできればと思っていますが、
無事独立できたことをできるだけ早く、これまで応援してくださったみなさまに
ご報告したく、このブログを書いています。
(独立に至った経緯は特集レポート「自立のその先に描くビジョン」をお読みください)
コミュニティファクトリーで働く女性たち、カンボジア事務所のスタッフとともに。
2018年5月現在で、約100人が働いている。
16年間を
振り返って
僕も、4月1日から、16年務めたかものはしを離れ、SUSUの一員として事業を続けていくことになります。本当に最後の日までバタバタして、どうなるかわからないことがたくさんあって、たくさんの人に支えられて、笑いもあり、ちょっと涙もありの1日でした。今思うと僕のかものはしの日々が凝縮されているかのような1日でした。
改めて、かものはしで働いた16年間を振り返ると、苦しかったり、楽しかったり、感動したりすることがたくさんあって、やはり19歳からの16年間というのはとても貴重だったんだな、と改めて思います。
例えば、
ファクトリーに来ない村の女性の家にバイクで駆けつけて
カウンセリングしたことだったり
どうしてもうまくいかない人と折り合いをつけられずに
苦しんだことだったり
一人で抱え込みすぎて身動きができなかった僕を、
チームが一緒に経営する形に進化させて支えてくれたり
子どもが売られる問題が改善傾向にある中で、
事業のあり方について議論を重ねたり
素材集めやデザインの産みの苦しみを乗り越えて、
新しいブランドを立ち上げたり
コツコツ作り続けたライフスキル教育がカンボジアの政府の人に
いきなり評価されたり
自分のもとで一緒に働く人たちが自分の夢やあり方に気づいて、
いきいきと事業を経営しするように、成長していく姿を見つけたり
なんだかとってもたくさんのことがありました。
特にカンボジアに駐在したこの9年間、まず向き合うことになったのは、自分自身の弱さでした。日本を離れ、カンボジアの変化の激しい事業や社会の中で、自己を管理しチームを作り問題を解決することに悪戦苦闘してきました。自分にもっと力があればと悔やんだ瞬間もたくさんあります。
しかし、村の女性たちに寄り添う中で、この苦労は僕だけでなく、まさに一緒に働く村の女性たちこそが工房や卒業し、都会で働く中で日々感じていることなのだ、ということにも気づく事ができました。その苦労を乗り越える力をライフスキルと名付け、徹底的にトレーニングを行うことにしました。そこで作り込んだトレーニングが今まさにカンボジア全体に広がっていこうとしています。
その旅を続けることが出来たのも、様々な形で、いつも活動を応援して、寄り添ってくれる、一人一人のみなさまのおかげだったと思います。そのおかげで、今回の支援終了、そして独立を迎えることができたのではないかと思っています。
スタッフ、サポーターの皆さま、関わってくださった全ての方に、心から感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。
新しい団体
SUSUが
目指すもの
「子どもが売られない世界をつくる」
そのミッションを掲げる中で、カンボジアの問題の状況が改善してきたのであれば、カンボジアの事業をどうしていくのか、そして自分はどこで何をやりたいのか、ということを何度も何度も、様々な人の助けを借りて議論し、探求してきました。
その中でわかったのは、これまで女性たちと共にすごし、コミュニティファクトリーを運営する中で培ってきた、ライフスキルの成長を加速させる力や、ものづくりをする力、組織の力や経験こそ、カンボジアの社会に役立てていくものではないか、ということ。
また、自分自身本当に何をやりたいのかを考えつくした時に、人が前向きに生きるための手助けをしていきたい、誰もが前向きにワクワク生きる人生を送れるような手助けをすることが、自分のライフミッションであると、確信できたこと。
その実現のため、これからは、新しい団体、SUSUとして、一人一人の人がいきいきと自分の人生を生きられる社会の実現、そのためのライフスキル教育と、柔らかい資本主義の実現のために、これから出会うたくさんの人とも支えあいながら、進んで行きます。
できるだけ多くの方に、現地の女性たちが作った商品を通じて、作り手のエネルギーを感じてもらいたい。そして、そのものを多くの人に手に取ってもらうことを通じて、より多くの女性にライフスキルを身につける機会が提供できたり、少しずつ彼女たちが生きやすい世の中を作っていきたい。
資本主義というのは一人一人の、ものの買い方で作り上げられている。そして今、作り手の顔がわかるものを身の回りで探しても、ほとんどない。ものの買い方が、人の成長に寄り添う企業の商品を選ぶというものに10回中1回でも変われば、作り手の成長に力を入れる企業が増え、彼女たちにとって良い職場が増えることにつながる。それを増やしていくことができれば、資本主義が少しやわらかくなっていくのではないかと思っています。そんな社会を、これから目指して、進んでいきます。
かものはしプロジェクトを作ったつもりが、そのプロジェクトでたくさんの人を幸せにするつもりが、多くの方の支えがあって、自分が一番育てられた16年間でした。
新しいSUSUもそんな組織になれたらいいな、と心の底から思っています。まだまだ、スタートを切ったばかりの私たちですが、ぜひ引き続き応援いただけると嬉しいです。
これまで応援いただいて、本当にありがとうございました!
そして、これからもよろしくお願いします!
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