2020年度年次報告書より
Report of India
2018年から支援しているサバイバーリーダーシッププログラム(今年度よりリーダーシップネクストに事業名変更)は、人身売買の被害を生き抜いてきたサバイバーたちが、社会を変えるリーダーへと成長することを支援する事業です。
*2018年にサバイバーリーダーシッププログラムが始まった当初の清水の想いが綴られた記事、「世界を変えるのは『優しい強さ』」はこちらからご覧いただけます。
今年度から、労働搾取を目的とした人身売買を生き抜いてきた10人のリーダーたちが新たに加わり、総勢211人のサバイバーリーダーたちがそれぞれのリーダーシップを発揮しながら、被害者支援、地元行政・警察・メディアへの働きかけ等の活動を行いました。またそれを通して、グループ内、NGO、家族とたくさんぶつかり、たくさん悩み、リーダーシップの在り方を磨いてきました。
©Siddhartha Hajra
コロナ禍の影響を大きく受け、ロックダウンによって過去のトラウマがフラッシュバックしたり、出稼ぎに出ていた家族が失業して世帯収入が底をついてしまったりと、苦境の中で今年度をスタートしました。それでも誰ひとり餓死者を出さず、誰ひとり人身売買の被害にあわず、この一年を終えられたのは、彼らがお互いを必死に支え続け、それをタフティーシュのようなNGO・専門家集団がそばで見守りながら、全力でサポートし続けたからだと感じています。
©Siddhartha Hajra
LEADERSHIP NEXT事業は
インド現地のパートナー団体、
海外助成団体と協力して活動しています。
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期間
①2018年2月 〜 2020年7月
②2020年8月 ~2021年7月 -
事業費
①1億880万円(1ドル=109円)
② 6742万円(1ルピー=1.47円) -
2020年度
支出実績①1601万円 ②4028万円
2020年8月から始まった第2期では、13のサバイバーグループが、各々個別の事業目標・計画・予算を立てました。お金を管理するスキルの向上とそれぞれが望む分野の研修(グループ内コンフリクトマネジメントの研修やコミュニティ・ファシリテーターになるための研修など)が、全事業計画に共通項目としてありますが、それ以外は個々のグループの文脈、希望、夢をベースに非常に多様な計画となっています。かものはしは、個々のリーダーシップが、これらの活動を通じてどういう軌跡をたどり、それが反人身売買システム進化にどう貢献するのかをモニタリングしています。
また、2019年に立ち上がったインド反人身売買リーダー連盟(ILFAT: Indian Leadership Forum Against Trafficking)は2020年11月に1歳の誕生日を迎えました。新たなサバイバーグループがラジャスタン州から参加し、今年度は、ロックダウンによって失業し家に戻らざるを得なかった出稼ぎ労働者を支援するキャンペーンの実施や、労働安全衛生や労働条件に関して規律する「労働安全衛生法」について、政府機関との意見交換等を行いました。
*インド反人身売買リーダー連盟が2019年に立ち上がった時の記事はこちらからご覧いただけます。
ILFAT誕生1周年のバースデーケーキと、1周年記念を祝うサバイバーリーダーたち。
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清水 友美Tomomi Shimizu
インド事業統括・パートナー
2011年から2年間のインド駐在を経て、2013年7月からかものはし東京事務所勤務。大学院卒業後、国際機関や人道支援機関で開発援助事業に携わる。森と温泉が好き。