【かものはしプロジェクト2017事業報告会~支援をすることで人は前を向いて生きていける】
date2017.8.31
いつもあたたかいご支援ありがとうございます。
2017年度の事業報告会を担当しましたインターンの二重作(ふたえさく)です。
2017年7月15日(土)
かものはしプロジェクト2017年事業報告会を行いました。
今年の事業報告会は例年とは異なり、去年までの総会の中に含まれていた事業成果報告と通常総会から前者のみを切り分けて新たに事業報告会として開催しました。
(その経緯についてはこちらのブログ記事をお読みください。)
日頃からかものはしを支えてくれる支援者の方々へ感謝の気持ちを伝え、よりかものはしのことを知ってもらって心から応援してもらえるように、という思いのもと、以下の構成で行われました。
第一部 共同代表による村田による講演
第二部 インド・カンボジア事業部マネージャーによるパネルトーク
当日は100名以上の方々にお集まりいただきました。
今回お越しいただくことができなかった方々に当日の様子をお知らせすると共に
お越しいただいた方への感謝の気持ちを込めて
事業報告会の内容をお届けしたいと思います。
第一部 共同代表村田による講演
かものはしプロジェクトが何のために活動しているのか、どこに向かって活動しているのか、
に大きく関わる、村田の「子どもが売られる問題」に関わるきっかけの紹介やカンボジア・インド事業の最新の進捗報告が行われました。
◼カンボジアでの原体験
冒頭。かものはしプロジェクトを立ち上げるまでのストーリーが語られました。
その中から村田を突き動かしている原動力となっている、
カンボジアで売られてしまった幼い少女とのエピソードが紹介されました。
大学生時代、この問題に興味を持ち始めた村田はカンボジアの売られてしまった子どもを保護する施設を訪問しました。
そこで、出会った子どもたちの中には職員の子どもと勘違いしそうになるほどに幼い6歳や8歳の子どもたちもいました。
その施設の中で、村田はある6歳の女の子と仲良くなりました。
親に見捨てられて売春宿に売られ、ひどい虐待をされた経験を持つ女の子でした。
2人は半日一緒に遊んで楽しい時間を共有しました。別れ際のやりとりと、そこから感じた村田の気持ちを、以下村田のスピーチから抜粋します。
『今日の思い出を忘れないように- 私のことを忘れないように-
お姉さんに私の宝物の一つをあげるね。』
そういって彼女はオレンジ色のクロマーを渡してくれた。
半日しか一緒に遊んでいない私のために大事なものを差し出してくれた・・・
彼女は何か悪い事をしたわけではない。
ただカンボジアの貧しい農村で生まれただけ。
なのに親からたった100ドルで売られてしまい、売春宿でありとあらゆる虐待をうけた・・・
なんて理不尽なんだろう。
このような子をこれ以上増やしたくない。
村田自身もスピーチをしながら過去を思い出し涙し、会場に来ていただいた参加者の方々も感極まった、そんな一場面でした。
◼カンボジア新法人自立に向けて
いよいよ来年に迫ったカンボジア事業の自立。
村田より、カンボジア事業がこれから新しいミッションのもと、働いている人が生きる力を身につける場所として発展していくことを目指す旨が伝えられました。
(詳しい経緯はブログ「カンボジア事業における大きな決断」をお読みください)
また、新法人の代表、青木より挨拶もありました。
青木:
『新法人SUSUにはカンボジア語で応援するという意味があります。
商品を売るだけではなくて、女の子たちに生きる力を身につける教育を施し、全体を通して女の子たちの人生を応援していくという意味が込められています。
カンボジアチームみんなで必死に頑張っています。
最後の1年、応援とご支援よろしくお願いします。』
インド事業の進捗紹介
2012年より活動を始めたインド事業。
インドを次の活動地に決めた理由や問題の構造、インドでの子どもが売られない社会の実現のための働きかけの現状などの説明とともに、かものはしの共同団体であるコルカタシャンブドの職員として活躍する元サバイバー(※)の女の子のストーリーが語られました。
(コルカタシャンブドに関してはこちらのブログをお読みください。)
被害にあって心を閉ざした状態から、コルカタシャンブドと出会い、徐々に心を開き、
ついにはコルカタシャンブドの職員として支援する側に回った女の子の話から、
『支援をすることで人は人生を取り戻すことができる。』
『明るく前を向いて生きていくことができる』
インドでの支援で見えた希望、支援の重要性が語られました。
(※)サバイバーとは、元人身売買被害者を意味する言葉で、被害を受けながらも「生き抜いてきた人」という意味があります。
また、インドの活動の進捗状況については、
昨年、インドでこの問題の解決を大きく前進させることになるかもしれない法案の草案が作られたことが伝えられました。
現在かものはしはこの法案の成立のために尽力しています。
法案の草案を作る際の有識者委員会に一緒に活動するパートナー団体の代表の方が入っているため、その方を通じて現場の意見を伝えていることや、サバイバーの女の子たちの要望を法律に反映させるために、彼女たちの声を集めて関係省庁の大臣に届ける活動をしたこと、インドの人たちに新聞やテレビなどのメディアを通じて新しい法案について知ってもうための活動をしたことなどが紹介されました。
その他にも初めて西ベンガル州でトラフィッカーの有罪判決を出すことにも成功しており、現地のパートナー団体とともに、一歩ずつですが着実にこの問題の解決に向けて進めることができています。
第二部 インド・カンボジア事業部マネージャーによるパネルトーク
パネルトークは現場のスタッフの思いもみなさまに伝えたいという趣旨のもと
共同代表兼インド事業部マネージャーの本木
共同代表兼カンボジア事業部マネージャーの青木
インド事業部シニアプログラムマネージャーの清水
の3名と外部のファシリテーターの方をお迎えしてそれぞれの事業に対する思いを語りました。
はじめは緊張も見えた3名でしたが、参加者のみなさまが頷きながら、熱心に耳を傾けてくださったおかげで、徐々にリラックスでき、自然な感情から出てきた思いを参加者の方々と共有する時間となりました。
また、終盤には参加者のみなさまからの質問を集め、それに対して答える時間も設けられ、スタッフと参加者のみなさまのコミュニケーションの場がつくられました。
以下個人的に、印象に残ったシーンを2つピックアップしてお伝えします。
インドマネージャの清水が『ウッタン』というサバイバーの女の子たちが立ち上げた自助グループの説明した一節です。時に過去のサバイバーの自殺という事件を思い出し、悔しさをにじませながら彼女たちと共にインドの問題解決に向けての決意を表明した印象的なシーンでした。
清水:
『3年前にサバイバーの自殺がありました。
そのような中でサバイバーの女性たちが自身の傷を癒し、研修をうけ、サバイバーのリーダーとして立ち上がり、同じ被害で苦しむ女性を支援するための自助組織『ウッタン』を立ち上げました。その中の一人には過去自殺未遂をした子もいます。
一見元気に見えますが、いろんなものを抱えて、いろんなヒストリーを抱えている女性たちがここまで立ち上がり、インドの問題解決に頑張っています。
彼女たちの頑張りは今後かものはしのwebサイトやFacebookでお伝えできればと思っています。
このような彼女たちの頑張りにも支えられて、かものはしはインドの問題に取り組めています。』
本木から支援者の方々へ向けての気迫のこもったお願いがありました。
本木:
『2020年のオリンピック前の報告会ではインドでの問題解決の道筋が見えた状態にしていきたい。
そのためにいろいろやっています。
しかし、どれがうまくいくか正直分からない現状です。
みなさんにお願いがあるとしたら引き続き失敗を許していただくこと。
かものはしがここまで成長できたのは支援者のみなさまが忍耐強く、私たちの活動を見守ってくださり、たくさん失敗をさせてもらうことができたからだと思っています。
だから今後も失敗を許していただけるとうれしいです。
失敗をした後で、失敗から何を学んだかについてはしっかりと振り返って、みなさんにもお伝えしたいと思います。』
これにはスタッフ一同同じ考えです。
かものはしプロジェクトはおそらく今後も失敗を重ねていきながら成長をしていくのだろうと思います。
記事をお読みの方々もどうか今後のかものはしをあたたかく見守ってくださると幸いです。
事業報告会の内容レポートは以上になります。
少しでも会の臨場感が伝わったのであれば幸いです。
最後に、今回事業報告会にお越しくださった方々を始めとし
日頃からかものはしプロジェクトを支えてくださる
正会員・サポーター会員のみなさま
ご寄付いただいた個人の方・法人会員のみなさま
かもカフェ・ボランティア・様々なかたちでサポートしてくださるみなさま
ゆるかも・ゆるかも関西のみなさまに改めて感謝の気持ちをお伝えします。
いつも、あたたかく、活動を応援いただき、本当にありがとうございます!
最後までお読みいただきありがとうございました。
今後とも引き続きかものはしプロジェクトをよろしくお願いいたします。
ライター紹介:二重作 亮太 (ふたえさくりょうた)地方大学の大学院2年生。化学と国際協力に関心があり、将来は開発職につき、自分の関わった製品で途上国の生活を向上させたいという目標がある。国際協力とNPOのバックオフィスを学ぶためにかものはしのインターンに参画。