カンボジアの児童買春問題について、自分が感じたこと
date2004.11.6
こんにちは。
NPO法人かものはしプロジェクトの代表理事をしております、村田早耶香です。
私は10月2日に、カンボジアから日本に帰国し、今は日本で活動をしております。
6月19日にカンボジアに降り立ち、約3ヶ月半滞在し、現地事務所を開設したり、現地スタッフ4名を雇用したりしていました。
今は、日本人駐在員2名とカンボジア人スタッフ4名が、現地事務所で活動し、12月のPC教室開始にむけて精力的に頑張ってくれています。
カンボジアでの滞在は、今回で4回目でした。
今までの中で、一番長い滞在でした。
長くいると、それだけカンボジアについて知ることも多くなります。
今日は、カンボジアの児童買春問題について、自分が実際に感じたことを書こうと思います。
カンボジアのNGOを沢山訪問して行く中で、買春の被害に遭った女性や子どもを保護し、職業訓練をしている施設に行く機会が何度かありました。
その中で特に心に残ったのは、ベトナムからカンボジアにトラフィッキング(人身売買)されて来た、6歳と12歳の姉妹でした。
彼らは売春宿で体を売らされており、客をとるのを嫌がると電気ショックを与えられ、無理やりいうことをきくようにさせられていました。
私が2003年5月にそのNGOを訪問した際には、被害者の保護施設で既に保護され、ケアを受け、心と体の傷がいやされつつあったのですが、保護された当時は、腕に電気ショックの跡が沢山残っていたそうです。
私はそのセンターを訪問した際に、彼らと一緒に、かんけりやボール遊びをして時間を共にしました。
普通の子どもよりもちょっとおとなしい、だけれどもやはり子どもらしくかわいらしいところのある子ども達でした。
12歳の長女は、他の子よりも少し勝気で、みんなのリーダー的な存在だったようです。何を遊ぶか決める時も、言いだしっぺはいつも彼女でした。
かんけりをしながら一緒に隠れていると、彼女が自分の目の前にきて一緒に隠れました。
さらさらの黒髪、綺麗な瞳。そして、とても小さくて細い体。
こんな小さな子が、数ヶ月前まで売春宿にいたのかと思うと、なんともいえない気持ちになりました。
少し疲れたのでいすに座っていると、長女が座っている私の髪に、赤と黄色の小さな花を挿し始めました。
彼女が言ったのか、スタッフが訳してくれたのか、良く覚えていませんが、
"I am happy if you here long time."
と言ってきました。
6歳の妹は近くでリリアンをしています。
ここで過ごす時間はとても平和な感じがしました。
そのセンターを出て、スタッフの車に乗っているときに、彼らにおきた一連の出来事を思い出していました。
あんなに幼い姉妹におきた想像を絶する出来事を思い出し、胸が痛みました。
あれから1年以上が経ちました。
2004年の6月19日にカンボジア入りした私は、そのNGOのスタッフと連絡を取り、夕食を共にしました。
彼らとは1年前の訪問以来、友人としてその後も何度か会っていました。
「彼らは元気にしてる?」
と私が聞くと
「実は、彼らはセンターから逃げ出したんだ」
と衝撃的な事実が伝えられました。
センターを逃げ出して、果たして小さなあの二人はどこへ行ったのでしょうか。
他のNGOのセンターでも良く聞くのですが、ベトナム人の女の子は、自分が働かないと家族が暮らせないので、保護センターから抜け出し、売春宿に戻ってしまうことがよくあるそうです。
彼らも売春宿に戻ってしまったのでしょうか。
それとも、自分の家に戻ろうとしているのでしょうか。
あの小さな二人がどうしているか、考えるととても胸が痛みました。
このようなカンボジアの状況を改善するためにも自分は働いているのだなと改めて感じました。